15.第3の法則

高3のある日、担任の教師との進路指導がありました。大学には行くつもりでしたが、明確な志望校はありませんでした。

担任は、朗らかでさっぱりとしている、面倒なことを言わない男性教師。先生は私に開口一番、

「こぐれは大学を出たら、材木屋さんを継ぐ気はあるのか?」

と尋ねました。

祖父にはかねてから、材木屋は継がなくていいと言われていたうえ、私自身もお商売というものにまったく興味がありませんでした。(残念ながらいまでも!😅)

祖父と一歳頃のわたし

考えたこともなかったと答えると、先生は、

「昔から、三代続かないって言うからなあ…気楽でいいな!」

と言い、ふたりで笑いました。当時はバブル景気の真っ只中でもあり、時代の空気は実に軽やかでした。

ちなみに、「売り家と唐様で書く三代目」とも言われ、なんでも、二代目は初代の苦労を知っているため、財産を守ろうと努めるものの、三代目は、贅沢が当たり前で潰してしまうのだそう…。(耳も痛いし胸も痛い!)

そして先生は、

「こぐれは、バンカラな校風がいいんじゃないか?W大とかM大とか」

と助言してくれました。お嬢さんたちの女子高でお行儀よくしていることに耐えられなくなったのを、先生は見抜いていたのでしょう。

大人のアドバイスというのは、たいてい実に有益なものです。そのときようやくはっきりと、自分は家族が望むような、お行儀よく生きるタイプではないのだと自覚したのです(笑)。


自分が生まれてから成人するまでを振り返ると、まさにニュートンの運動3法則にのっとって育っていたことに気付きます。

祖父を頂点とした家父長制のもと、緊張感はあれども安全に守られた保守的な家庭内で、それに慣れ切って変化を求めなかった中学までは、慣性の法則がはたらいていました。

幼少時から伸びゆく私を、明るい教育ママの母がポジティブに導いて加速させ、勉強好きに育てたのは、運動の法則といえるでしょう。

そして、第3の法則、反作用です。

親がこどもを思うあまり、過保護と過干渉に陥ると、必ず反作用が起きます。親の愛には感謝しかありませんが、これはもう、ニュートンが主張しているほどですから、仕方がありません(笑)。

10代後半にもなると、私の中には大きな反作用の力が蓄えられていました。

高3の大学受験後、いくつか受かりはしましたが、浪人することに決めました。これは、はっきりとした反作用の始まりでした。バブルの真っ只中の当時、浪人したほうが出世するなどとも言われていたのは、いまや驚きかもしれません。

浪人という響きは、もはやおりこうさんではない感じで、宙ぶらりんな立場だったのも、私にとってとても心地よいものでした。

そんな浪人時代、私は進路を2つ見据えます。

ひとつは弁護士の道。そしてもうひとつは…演劇への道…。担任が言ったとおり、三代目は実に気楽なものです(苦笑)。

物語は次につづきます。

少しずつ春に近づくこの時期、皆様引き続きお健やかにお過ごしください✨

こちらにつづきます↑

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